
『素直』という言葉を聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?
お子さんがピアノを習い始めてしばらくすると、多くの子が出会う「ブルクミュラー25の練習曲」。その第1曲目のタイトルは「素直(La candeur)」です。
松下幸之助さんは「素直な心」とは、「物事の真実と何が正しいかを見極めて、これに従う心」とおっしゃっています。思い込みを手放し、あるがままを受け止める心。それが「素直」です。
原題の「La candeur」は、「飾らず、ありのままで隠すところがないこと」。
ブルクミュラーの「素直」は、その名の通りシンプルで美しいメロディーが特徴です。楽譜に忠実に音を読み取り、フレーズを丁寧に歌うことを学ぶこの曲は、ピアノの基礎を築く大切な一歩。
25の練習曲の最初に「素直」を置いたのは、きっとブルクミュラーがピアノを学ぶ上での“心構え”を伝えたかったからではないでしょうか。
ピアノの上達は、素直に耳を澄まし、「この音で合っているかな?」「もっとこうした方がきれいかな?」と自分で考え、先生のアドバイスを受け入れることから始まります。
それは、演奏だけでなく人としての成長にもつながる姿勢です。素直さは、ただ従うことではなく、心を開いて学ぶことなのです。
お子様が練習しているこの小さな曲には、そんな大切なメッセージが込められています。
ピアノを通じて、音楽の力だけでなく心の成長も一緒に見守っていけたらと思います。
